ブルーブラック2

立ち止った智にゆっくりと歩いて近づくと、真横から覗き込むようにして美咲が笑いながら顔を見た。


「意外に柳瀬店長って正直ですよね」


くすくすと笑う美咲に刺すような視線を向ける。


「···俺は君のように暇じゃないんだ」


そういって再び歩き始めようとした智の腕を美咲は両手で掴んで阻止をする。


「私さっき見ちゃったんですよ、神野さんが病院に入って行くところを」

「病···院···?」


さすがに今度は智も無視することが出来ずに思わず声を出してしまう。

その反応を見て美咲はニヤリとして耳元に近づくようにして言った。





「産婦人科ですよ?」


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