ブルーブラック2

未だしつこく鳴り響く着信音に百合香が言う。


「ちょっ…、私は静かにしてるから!出て?」
「···ちっ」


椿は百合香にお願いされるとどうも弱い。
言われたとおりに再び携帯を手に取ると乱暴な感じで電話に出た。


「もしもし」
『あ、もしもし!今大丈夫ですか?』
「大丈夫じゃねぇ。今度にしろ今度」
『えぇ~··彼女っすか?』


椿はあまりこんな風に話をすることはない。

その話し方に相手に対する嫌悪感は感じないが、慣れ親しんだような相手に対する態度のように百合香は感じて様子を見ていた。


「違うけど!なに?急ぎ?」
『いえ、なんとな~く···話したいなと』
「彼女にでも相手してもらえ」
『いないですもーん··』


一向に空気を読まない電話の相手に椿は大きな溜め息を漏らした。

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