ブルーブラック2

「斉藤、お前もしかして―――」
「···“敵わない旦那”ってどんな人ですか」


隼人はここ数日百合香の様子がおかしいのはその“旦那”なのではと疑っていた。

お酒を飲み過ぎたら怒られるとういうようなことも言っていたし、亭主関白のような厳しい旦那なのではないかと心配していたのだ。


「え?どんな人って―――…」


坂谷が目を丸くして隼人を見てそう言った。
まるで“今更何をいってるんだ”といわんばかりに拍子抜けしたように。


「神野さんの旦那は、」
「おーい坂谷!!」


坂谷が隼人に何かを告げようとしたらタイミング悪く富田に呼ばれて話は中断された。


隼人はそんな坂谷の言葉になど気にも留めずに、レジに立ち時間があれば百合香の様子を窺っていた。

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