ブルーブラック2
「神野さん、お待たせ」
そこに恰幅の良い体を揺らしながら笑顔で金山が戻ってきた。
「金山さん!今阿部さんは少し休憩に··」
「ああ、さっき外ですれ違ったよ。あと10分くらいしたら戻るんじゃないかな」
そう言いながら金山は自分のポジションに座った。
そして再びいつでも大丈夫なように身の回りの準備·確認を丁寧に行っている後ろから百合香が話す。
「金山さん。インクのブレンドって難しいですか?」
「んー··ブレンド自体は難しくなんかないよ。だってそうだろう?好きなものを混ぜてしまえば立派な“ブレンドインク”だ」
金山はその場にあった黄色と青のインクを混ぜて緑色になったインクを見せながら百合香にそう言った。
「小学校の図工の絵の具を思い出しちゃいます」
「ははは!それは柳瀬くんも同じことを言っていたな!まぁそんなようなもんかな!」
智と同じ発想と言われて、なんだか嬉しいような恥ずかしいような思いになる。