ブルーブラック2
「でもやっぱり想像している色を作るのは···」
「さすがに一発でそれをやられちゃあ商売あがったりだな。
絵具と違って水で薄めるとか出来ないからそのへんの考慮と、意外に一滴の差が大きく仕上がりを変えたりするから神経つかう作業かもね」
金山が百合香を見上げてそう言った。
百合香は何やら考えているような様子だったのに金山は気付いていた。
「やってみるかい?」
百合香はその金山の一言に表情を明るくして目を合わせた。
「だけど、営業時間中は中断されたりで落ち着かないから閉店後にでも」
「あ、でも金山さんもお疲れなのに···」
「神野さんとの残業なら疲れが飛ぶよ」
そんな冗談混じりの金山の笑いの中、美雪が戻ってきた。
「なんですか?楽しそうに」
「いやこっちの話」