ブルーブラック2
1.2名の研修生
*
「おはようございます。今日から8月です。今月はセールを控えている大変な月ですが、体調管理しっかりとして少しずつ準備をしていくようお願いします」
毎朝、朝礼はあるが店長の話は月初めのみ。
柳瀬智《やなせさとし》が店長になり丁度1年が経ち、百合香《ゆりか》も変わらず毎日を過ごしていた。
“変わらず”と感じるのは旧姓·神野《かんの》のまま勤務を続けているせいかもしれない。
毎日文具に囲まれて、任される仕事も増えてきて。家に帰れば最愛の夫·智が一緒で、公私共に充実している。
「ああ、あと」
『セール』というフレーズで周りがざわつき始めていたのを、智の声が制止する。
何をこれから発表するのかは実は先程から百合香にもわかっていた。
「今回が初めてではないから、わかっている人も多いと思うけど」
智の話に耳をかしていた百合香の背後から小声で話し掛けられた。
「去年は確かこなかったよね!今年はあの二人なんだね!」
顔をあまり動かさないように声がした方向に視線をやると、やっぱり桜井綾《さくらいあや》だった。
「おはようございます。今日から8月です。今月はセールを控えている大変な月ですが、体調管理しっかりとして少しずつ準備をしていくようお願いします」
毎朝、朝礼はあるが店長の話は月初めのみ。
柳瀬智《やなせさとし》が店長になり丁度1年が経ち、百合香《ゆりか》も変わらず毎日を過ごしていた。
“変わらず”と感じるのは旧姓·神野《かんの》のまま勤務を続けているせいかもしれない。
毎日文具に囲まれて、任される仕事も増えてきて。家に帰れば最愛の夫·智が一緒で、公私共に充実している。
「ああ、あと」
『セール』というフレーズで周りがざわつき始めていたのを、智の声が制止する。
何をこれから発表するのかは実は先程から百合香にもわかっていた。
「今回が初めてではないから、わかっている人も多いと思うけど」
智の話に耳をかしていた百合香の背後から小声で話し掛けられた。
「去年は確かこなかったよね!今年はあの二人なんだね!」
顔をあまり動かさないように声がした方向に視線をやると、やっぱり桜井綾《さくらいあや》だった。