ブルーブラック2
第五章
1.奪うもの、奪われるもの
*
ガコン
百合香は売場で金山と別れて事務所に向かった。
事務所の扉の小さな曇りガラスからは柔らかい光が見えた。
(あ、まだ仕事してたんだ。よかった)
百合香はその灯りの主が智だと確信すると、先程仕上げたインクを入れた万年筆を一度見てドアを開けた。
「お疲れ様です」
一応、一社員としての挨拶。
もしかしたら誰かいるかもしれないから。
「ああ。終わった?」
パソコンから視線を外して百合香を見ながら智がそう答えた。
ガコン
百合香は売場で金山と別れて事務所に向かった。
事務所の扉の小さな曇りガラスからは柔らかい光が見えた。
(あ、まだ仕事してたんだ。よかった)
百合香はその灯りの主が智だと確信すると、先程仕上げたインクを入れた万年筆を一度見てドアを開けた。
「お疲れ様です」
一応、一社員としての挨拶。
もしかしたら誰かいるかもしれないから。
「ああ。終わった?」
パソコンから視線を外して百合香を見ながら智がそう答えた。