ブルーブラック2
「すみません··急な残業をして」
「いや。せっかくだからいいんじゃない」
昨夜のことがなかったかのようにいつもと同じ優しい笑顔で智はそう言った。
「知ってたんですか?」
「···まぁね」
「そうだったん、だ」
チクリ。と百合香の下腹部が再び痛み始めた。
(薬が切れたかな···)
そう思いながら軽くお腹を抑える。
「百合―――」
「じゃあ急いで着替えてきます」
そんな小さな百合香の異変に綾の助言もあってすぐに気付いた智だったが、心配する言葉よりも先に百合香が素早くロッカー室へと向かって行ってしまった。