ブルーブラック2
「お待たせしました」
「じゃあ帰ろうか。ああ、先行ってて。電気と戸締りしていく」
事務所で再び顔を合わせると、百合香は先にエレベーターへと向かって智を待っていた。
エレベーター前の脇にある小さな窓から外を見下ろす。
既に真っ暗な空の下、煌々と街灯やネオンが点在している。
昨日の現場を目撃した場所を見て、百合香の胸はまたズキズキと痛み出す。
「何してるの」
そんなことを思い出していたら窓に映る背後の智に気が付くのが遅れて百合香は驚いて振り向いた。
「あ···!いえ。なんでも」
「ふっ」
小さく笑って百合香は頭をぽんと一度触れられた。