ブルーブラック2
「これで最後です」
裏口に立っている警備員に智が報告すると、その裏口は静かに閉じられた。
外に出た瞬間に冷たい風が肌を撫でる。
「寒い?車まで我慢できる?」
「あ、大丈夫···」
自分の腕を抱きしめるような仕草をした百合香にすぐ智は反応して声を掛けた。
こうして2人揃って店から帰宅するのはいつ振りだろう。
少し先を歩く智の背中を見ながら百合香はぼんやりと考えていた。
コツコツ···
そしてさらにその後ろを何者かの足音が付いてきたことには二人は気づかなかった。