ブルーブラック2
3.舞い戻ってきた“桜”
智は隼人の手を避けるように百合香の抱いた肩をさらに自分の胸に引き寄せると抱きしめるようにして隼人に言った。
「―――なっ··」
「年下だろうが部下だろうが容赦はしない―――」
隼人は完全に固まってしまった。
智の言っていることに驚いたということもあるが、そうではなく···
あまりにも、鋭く牙を剥かれたから。
「で、でもっ!確かに今、私を受け入れたじゃない!」
美咲が黙った隼人に代わってそう言うと、智はそれを聞いて呆れるように小さく笑った。
「いつ、誰が君を受け入れたって―――?」
伏し目がちに智がそう言うと、百合香から手を離した。