ブルーブラック2
「―――っ」
「そういうわけだ。まだ、なにかある?」
智は静かに燃え上がる怒りを抑えてゆっくりとした口調で美咲に言った。
すると、さすがの美咲も降参してその場を何も言わずに急に走り去ってしまった。
「···ありがとう、ございます」
再び“桜”を戻された百合香は智にそう言って手にあるものをもう一度感じようとそっと撫でた時に、向かいにいた隼人が百合香に声を掛けた。
「百合お姉さん··それ、見せてもらえませんか?」
「え?うん···」
そうして次は隼人の手に渡った“桜”
隼人は先程智が指を差していたクリップ部分を食い入るように見た。