ブルーブラック2
「家に着いたら―――ケンカ、しようか」
聞き間違いかと思った。
そんなこと今まで一度だって言われたことがなかったから。
だけど智の顔を見てみると、冗談を言っている風でもない。
かといって、怒っているようにも見えない。
「も、もう一回言って···?」
百合香は堪らなくなってもう一度、今度は耳を澄ませて聞こうとする。
けれど、答えはやはり一緒で···
「ケンカをしよう」
(や、やっぱり聞き間違えじゃない···お、怒ってる?)
智はそう答えるとドアを開けて車から降りた。
それを追って百合香も慌てて車を降りる。