ブルーブラック2


百合香は数日振りに感じるような、穏やかな心で智に寄り添っていた。


それは心地のいい沈黙。



「あ」


そんな中百合香は思い出した。


まだ、ひとつ智に言っていないことが―――。



「あの···智さん。」
「ん」
「大事なお話が···」


百合香がそこまで口にしただけで智は百合香の話の中身まではわからないにしても、何についてかは既に察していて、ぴたりと触れていた体を少し離して向き合った。


そしてそれは、全てを包み込んでくれるような温かな雰囲気で、百合香はなぜ今日まで何も伝えられなかったのかが不思議に思える程。



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