ブルーブラック2

「私が言わないことを智さんに気付いて貰おうだなんてムシのいい話だから···」


ぎゅっと智のシャツを握ると、百合香は思い切って全てを伝えた。


「私、本当に今すぐ赤ちゃんが欲しかったんです。智さんとの··。だけど、全然ダメで、一人で抱えて焦ってた。

自分に原因があるかもしれないってそればっかり頭にあって···。でももしも何かステップアップするなら結局は智さんの協力も必要だってわかってました。

それがまた、怖かった――――」


「怖い?」


百合香はこっくりと頷いてそれに答える。



「私ばかりが先を急ぎ過ぎているんじゃないかって―――」


自分ばかりが欲望を押しつけているんじゃないかって、それを確認するのが怖かった。



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