ブルーブラック2
智は百合香の肩を離さずに、目を逸らさずに聞いていた。
本当は、何を告げられるかわからなくて怖い。
いくら智でも、この状況で冷静な気持ちでいられることは出来ずにいたのだ。
ただ、それを少しでも顔に、態度に出さないように気を張って。
「子宮がんも、血液検査からも――異常はありませんでした」
“異常はない”その言葉だけでも智は手にかいていた汗が治まった。
「―――ただ」
百合香は決して明るい顔をしてはいない。
まだ、何かあるのかと智は百合香の続ける言葉を待つ。
「無排卵···という周期もありそうな話をされて··それはストレスやホルモンバランスにもよるみたいなので、良くもなれば悪くもなるような―――」
「···つまり··?」
「可能性はゼロではない。だけど、もしも先を急ぐのなら―――タイミングを見てもらうための通院から始めてもいい、とお話されました」