ブルーブラック2
「書きづらいとか、そういうのはないかい?」
「特に感じたことは···」
「そう。確かに綺麗な使い方をしてくれてるようだ」
まるで一人のお客のように百合香は金山に向かい合わせて座ると、改めて自分の元に戻った“桜”を愛おしく思う。
「はい。少しだけインク量が少なかった気がしたからフローをよくしておいたよ」
「あ、ありがとうございます!」
そんな会話をしているところにバックヤードから人の気配を感じた。
「あ、神野さん早い!あれ、金山さんも?!おはようございます!」
「ああ、おはようございます富田さん」
富田が金山の存在に気付いて2人は何やら話し始めたので百合香はその場を離れてショーケースをいつものように磨き始めた。
「おはよう」