ブルーブラック2
「神野さんも来てくれたら金山さんが喜ぶよ」
百合香の視線に気づいて智はすぐにそう答えた。
「じゃあ決まりね。片付け早く終わらせよう」
話が決まると富田が手早くフェア会場を片づけ始める。
それを手伝うように百合香と坂谷も残りの片づけをし始めた。
そんな光景を背に、ショーケースの内側で通常の片付け作業をしている隼人の元へと智は向かった。
「お疲れ」
「!!···お、疲れ様··です」
その姿に隼人は驚きつつも、再びせっせと片づけを続けた。それはただ単にばつが悪いだけだったのかもしれない。
智はそんな隼人の姿をショーケースに寄りかかりながらじっと見つめていた。
その無言のプレッシャーに隼人は意味もなくドキドキと汗をかきそうな緊張を強いられていた。