ブルーブラック2
「もうそんなに経ったんだ。早いね」
百合香も自分自身がフェアや日常の仕事に追われていてあっという間だと感じてそう答えた。
「たった1週間ちょっとじゃやっぱなんにもできないままスよね··」
「まぁそりゃ仕方ないだろ」
隼人がしょんぼりとグラスをテーブルに置いて言うと、坂谷はそこまで深刻にならずに軽く答えて笑った。
「あ、でも、やっぱり役には立つんじゃない?もしも営業とか地方とかになった時でも、お客さんに何か聞かれた時に実際お店にいて商品を見て手に取ったっていう経験は活かせるよね」
百合香が慰めの意味も込めてそういうと隼人は百合香の意と反してさらに溜め息をついて肩を落とした。
「そうですよねぇ···1階に行くだけでこんな風になってたらこの先地方とかなった時オレやばいですよね」
隼人はこの短期間で随分と弐國堂に愛着が沸いたようで、そんなことを漏らした。