ブルーブラック2

「そう言われたら、私も異動ってありえるんだった」


百合香が思い出したように言った。


「あー··でもあんまり動かさないんじゃない?頻繁に動かされちゃったら万年筆のプロフェッショナルが不在ってなって致命傷になりそうだし」


坂谷がいつになく真面目にそう話した。
でも、もし自分に異動命令が出たらどうなるんだろう―――
そんな風に百合香が考えてた時だった。


「あ、てことは、明日から生田さんがうちにくるってことか」


悪気なくただそう言っただけの坂谷だったが、百合香と隼人はその名前を聞いて凍りついてしまった。


(そうだ。彼女も研修生には変わりないから、うちにもくるんだ)


自分の言葉に百合香も隼人も無言なことに不思議に思って坂谷は交互に顔を見やっていた。



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