ブルーブラック2
「さっきの金山さんの話ってなんのこと?」
リビングにつくなり智が百合香に聞いた。
百合香はきょとんとして智の顔を見上げた。
(もしかして、やきもち···)
「あんな風に俺の前でわざわざ話すなんて、金山さんも本当いい性格してるよ」
ちょっと不貞腐れながらネクタイを解き、そういう智を見るのはあまりない。
百合香はなんだか可笑しくて笑ってしまいたかったけど、反撃が待っていると思えばそれを懸命に堪えていた。
「···いえ、なんでもないです。大したことじゃ、」
「へぇ。金山さんが知っていて、俺の知らないことってなに」
「そ、そんな、本当になんでも····んッ」
智は一見クールに見えるが百合香に対しては物凄く嫉妬をする。
それは百合香も知っていることだが―――
「いいよ、話さなくても。その代わり――」
唇を離した少しの距離でそう呟くと、再び頭を引き寄せられて奪われる。