ブルーブラック2
「···ふ··」
甘い吐息混じりに漏れる声を聞いてから、智はゆっくりと百合香と離れた。
そして百合香の少し乱れた髪を優しくとかして整えると、つっ··と唇を指でなぞる。
「シャワー浴びて着替えておいで」
少し自分の嫉妬心をぶつけたからなのか、いつもの余裕を取り戻した智は百合香にそう言った。
(もう··ほんと智さんて狡い人)
結局は自分ばかりがいっぱいいっぱいになってしまっている。
今だってそう。
あんなキスの後なのに、そんな風にすぐに切り替えることが出来るなんて私には出来ないのに。
未だにドキドキとする胸を抑えながら百合香はジロッと智を見て言われたとおりにバスルームへと向かっていった。