ブルーブラック2
カタン、とグラスをテーブルに置く音だけがリビングに響いた。
「智さん」
「うん」
百合香はテーブルにある智のお茶と、今自分が空にしたグラスを見つめながら話し始めた。
「私、考えました・・・」
「うん」
たった一言の相槌だけなのに、智の声がとても優しくて、百合香の緊張は少しずつ解れていく。
「少し、お休みしようと思います。あの事を考えることを」
「そう・・・」
「あ!でも、違いますよ!
だからと言って、その・・完全にお休みするってことじゃなくて。病院にはもう少し先になってから・・・あの、つまり」
「わかってるよ。肩に力を入れ過ぎていたのを失くすってことだろう?
あとは暫く自然に任せたい―――そういうことじゃなく?」
上手く伝えられるか不安だった百合香はやはり上手く言葉に出来なくて。
それでも智は理解して、受け止めてくれる。