ブルーブラック2



「あ···」
「どうかしましたか?」


あれからやっと智に解放されて、二人でベッドに横になった時に智が何かを思い出したように声を上げた。


「いや。ちょっと忘れ物を思い出した」
「忘れ物?」
「会社のデスクにしまったまま」
「書類か何か?」


百合香は智の方へ寝返りを打って下から覗き込むようにして聞いた。
すると智がそんな百合香を引き寄せて額にそっと口づける。


「そういうんじゃないから、気にしないで」


(智さんも充分秘密主義だったりするんだから)


百合香はそんなことを思いながら、智の体温を感じながら目を閉じた。




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