ブルーブラック2
「1階では可もなく不可もなく、的な働き振りだったみたいだけどね」
「はぁ・・・そうですか・・・」
それは薄々知っていたこと。
以前先輩で1階フロア担当の綾にも聞いていたことでもあったのだから。
「でもそれにしても初日からこんなに遅いとちょっと心配しちゃうよなぁ」
「え!」
「・・・そっちの心配じゃないよ。これから大丈夫かっていう方の心配」
一瞬坂谷が美咲にちょっとだけ好意があるのかと思ってしまった百合香は勘違いだとわかると黙りこんでしまった。
「ま、オレが言うなって話だよね」
どこか軽い印象の坂谷が自虐的にそう言って雰囲気を和らげた。
決して不真面目ではない人間だと言うことを百合香は知っている。
だからこそ、きっと何かを感じ取って気を遣ってくれたのだ、と坂谷に笑顔を向けた。