ブルーブラック2
4.嫌な予感
*
「柳瀬店長」
事務所に入る扉のドアノブに手を掛けようとした瞬間に後ろから声がした。
今朝も同じように呼ばれた記憶があった智は誰が呼んでいるのか見当が付いている。
「―――なに?生田さん」
美咲は1階にいる筈なのになぜか智のいる5階にいて話しかけている。
智は伸ばしかけていた手を戻して美咲と向き合った。
「あの。休憩していいと指示されて」
「ああ。じゃあこの奥にあるロッカールーム手前が休憩室で、皆食事とってるから」
「店長は、お昼まだなんですか?」
「俺はある意味自由だから。好きな時に好きなようにしてる」
智が美咲の質問に答え終わると同時に再びドアノブに手を掛け回した。
「一緒に食べたかったなぁ」
美咲の独り言は、独り言ではない。
智に向けての“誘い”だ。
けれど当然智はその誘いに乗る筈もなく―――
「俺も愛妻弁当を見せられなくて残念だよ」
智の嫌味を含んだ牽制に、さすがの美咲も黙っていた。
「柳瀬店長」
事務所に入る扉のドアノブに手を掛けようとした瞬間に後ろから声がした。
今朝も同じように呼ばれた記憶があった智は誰が呼んでいるのか見当が付いている。
「―――なに?生田さん」
美咲は1階にいる筈なのになぜか智のいる5階にいて話しかけている。
智は伸ばしかけていた手を戻して美咲と向き合った。
「あの。休憩していいと指示されて」
「ああ。じゃあこの奥にあるロッカールーム手前が休憩室で、皆食事とってるから」
「店長は、お昼まだなんですか?」
「俺はある意味自由だから。好きな時に好きなようにしてる」
智が美咲の質問に答え終わると同時に再びドアノブに手を掛け回した。
「一緒に食べたかったなぁ」
美咲の独り言は、独り言ではない。
智に向けての“誘い”だ。
けれど当然智はその誘いに乗る筈もなく―――
「俺も愛妻弁当を見せられなくて残念だよ」
智の嫌味を含んだ牽制に、さすがの美咲も黙っていた。