ブルーブラック2
こんな自分にも、感情を挟まずに接してくる。何も感じなかったのかと思う位に。
お客には勿論、同僚にも、先輩にも、上司にも、後輩にも。
そして果てには万年筆にさえ。
神野百合香という人間は優先すべきことを考えて、心を込めて接している。
だからだ、と頭では理解してる。
そういう人だからこそ万人に好かれ、常に穏やかな空気を携えているのだと。
自分にはないものを持っている。
自分は見た目と上辺だけ。
それだけじゃ、何にも満たされないとどこかでわかっていたのだけれど気付かないフリをしていた。
こんな思いをさせられる位なら、いっそ責め立てられた方がどれだけいいか。
それがない方がこんなにも苦しい思いをするなんて。