ブルーブラック2

「―――また来年もフェア、ありますか?」


急に百合香が空を見上げて智に聞いた。


「・・・今回かなり好評だったから。後はオーシャン次第かな」
「こんな空の色もいいな、って」


(青々とした緑は智さん―――

それで、春に彩ってくれるこの桜が私だとして・・・

そんな私達を広く大きく包む澄んだ空は―――)



「いつか会える大事な家族の、イメージカラー」



穏やかな風に髪を靡かせながら百合香は空を仰いだまま優しい顔で静かにそう言った。

そんな百合香を見て智は空いた左手をそっと百合香の右頬に添えて撫でると光る瞳を向けて笑っていた。





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