ブルーブラック2

「あ、隼人。オレちょっと買うもんあったから待ってて」


そう言って椿はいなくなってしまった。
百合香は椿の背中を目で追うと、隼人に視線を戻して聞いた。


「どう?慣れた?」
「はい。なんとか・・・」
「そう・・・生田さんとは連絡取ったりしてるの?」


百合香が同期である隼人とは何か繋がりがあるのかと、少し遠慮がちにだが思い切って聞いてみた。

すると隼人は、少し驚いたような顔をしてから百合香に答えた。


「いや、実は・・・その話をしに今日は寄ったんです」


目を伏せて隼人がそう言うと、百合香は何事かとショーケースに体を付ける。


「生田、今月で辞めるんです」
「え?」
「この前たまたま会ったんですよ、仕事上で」


美咲が配属された所もまた、本社の中だったので頻繁ではないが顔を合わせる位はあったらしい。


「辞める?」
「本人から聞きましたから、本当ですよ」
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