ブルーブラック2
「あ、朱里ちゃん。これ私と智さんから」
ある程度落ち着いたときに百合香が手荷物を置いていたところへ行って紙袋から20センチ四方位の包みを取り出して朱里に手渡した。
「ああ、本当、気を遣わせてしまってごめんなさい。朱里、ありがとうは?」
「ありあと!」
いつもと違う雰囲気と百合香と智という来客で目が冴えているのか夜の9時半を回ろうとしているが朱里は寝ようとしなかった。
「なんか、何が喜んでもらえるか・・・悩むものですね」
「その気持ちだけで充分なのに・・・ね、朱里。何貰ったの?」
がさがさと一生懸命に赤い包装紙を外して中身に辿りつく。
「あー。えほん!いぱーい!」
朱里が笑って数冊の本を手に、目をキラキラさせて叫んだ。
「よかったね。じゃあその絵本を読んで、おやすみしようか?」
「えーうりかちゃんといたい」
朱里がほっぺを膨らませてそう言った言葉に百合香は驚いた。
「え・・・?今のって・・・」
「“ゆ”ってなんでか言えないのねぇ。“うりかちゃん”て言うのよ」
「か、かわいい~~~!!!」