ブルーブラック2
百合香は目尻が下げると朱里の顔を覗き込むようにして言った。
「ね。朱里ちゃん。もう一回呼んでみて?」
「うりかちゃーん」
ニコニコ笑顔がプラスされて百合香は本当にメロメロになっていた。
百合香自身も嬉しくて、楽しくなって、次に朱里に質問をする。
「じゃあ、あの人は?」
「まま」
「じゃ、あの人は?」
「ぱぁぱ」
「じゃー・・・この人は?」
最後に指を指したのは勿論残った智である。
朱里は百合香の指した先の智を見上げて少し黙った後にこう言った。
「なーなーくん」
それを聞いた百合香と智は目を合わせて黙った。
まどかと江川はすでにそう呼ぶであろうことが分かっていたようで、智に申し訳なさそうにまどかがフォローする。
「私たち、“柳瀬”と“柳瀬くん”て呼び方してるから・・・でもやっぱりや行難しいみたいで・・・」
「なーなくん!」
「・・・やっぱり俺のことか」
そういう智もまんざらでもない顔で朱里の頭を撫でていた。