ブルーブラック2

百合香は少しの間声を出さずに沈黙した。
その沈黙がまどかには不安な時間であって、様子を窺うように百合香の名を口にする。


『ゆ、百合香ちゃん・・?違うの。私が言いたかったのは、』
「―――お、おめでとうございます!!!」
『―――え?』


その百合香の声は顔が見えない電話であっても無理をして言っている言葉ではなく心から祝ってくれているということがわかってまどかは少なくとも緊張はしていたのでその反応に安堵した。

だけどまどかは祝われることが目的で電話をしてきたのではない。


「今どの位なんですか?いつ予定で?」
『え?あー…と今8週で…8月末なんだけど』
「そうなんだぁ!朱里ちゃんお姉ちゃんになるんですね!」
『いや、そのことなんだけどね』


タイミング良く話を振られたとばかりにまどかは間髪入れずに百合香に話を続ける。


『その・・・百合香ちゃんて、あれから最近、どう・・・?』
「―――え?・・・どうって・・・」
『どうしても気になって』
「・・・・」


百合香はまどかの“気になって”という思いは、自分は第二子を授かったのであれから自分の方はどうなのかと逆に気にしてしまっていることかと思って思わず黙り込んでしまった。


< 341 / 388 >

この作品をシェア

pagetop