ブルーブラック2
「俺達が信じてあげなければ、誰が信じるんだ」
百合香の頭の上で智が言う。
「その小さな命が無くなるかもしれない、と考えるよりももっと思うことがあるはずだ」
百合香はその言葉にゆっくりと顔を上げて智を見た。
相変わらず真っ直ぐに見つめている黒い瞳が少し細くなって優しい笑みを向けられるとそっと両手を取られた。
「きっと、この手で抱ける日がくる」
「・・・智さん」
(大丈夫、きっと。ここに確かにあなたは生きていてくれているよね・・・?)
自分の手と下腹部を見つめて百合香は呟く。
「ごめんね。存在を否定するように考えてしまうなんて・・・」
そして再び智の顔を見上げた時には、極上の笑顔と優しいキスが待っていた。
きっとーー絶対大丈夫、という想いを重ねて。