ブルーブラック2
4.碧い空の下で
*
「碧《あおい》見てごらん?」
見晴らしのいい公園で、鮮やかに染まる木々の隙間から秋晴れの空を仰いで百合香は言った。
「碧の名前、この空からイメージしたんだよ。…気持ちいいね」
百合香の腕の中には桜色のタオルにくるまれたちいさな赤ちゃん。
ふた月程前に無事、百合香は出産を終えた。
百合香と智の元にきてくれたのは女の子。
いつか見た、あの空のように、広く、穏やかに、全てを包んでくれるような人に―――
そう願い、心を込めて“碧”と名付けた。
「“紺碧の空”か」
「え?」
少し後ろで同じく空を仰いでいた智がぽつりと漏らした。
「いや。だめだな。完全に職業病だ」
「…もしかして、碧の為のインクカラー?」
「……まだまだ先の話だな」
「でも、ちゃんとデータは残るからいつでも再現できるじゃないですか」
にこにこと満面の笑みを百合香は智に向ける。
「あー。久しぶり、かも」
「え?」
そうして智はふわりと百合香の髪を掬った。
「碧《あおい》見てごらん?」
見晴らしのいい公園で、鮮やかに染まる木々の隙間から秋晴れの空を仰いで百合香は言った。
「碧の名前、この空からイメージしたんだよ。…気持ちいいね」
百合香の腕の中には桜色のタオルにくるまれたちいさな赤ちゃん。
ふた月程前に無事、百合香は出産を終えた。
百合香と智の元にきてくれたのは女の子。
いつか見た、あの空のように、広く、穏やかに、全てを包んでくれるような人に―――
そう願い、心を込めて“碧”と名付けた。
「“紺碧の空”か」
「え?」
少し後ろで同じく空を仰いでいた智がぽつりと漏らした。
「いや。だめだな。完全に職業病だ」
「…もしかして、碧の為のインクカラー?」
「……まだまだ先の話だな」
「でも、ちゃんとデータは残るからいつでも再現できるじゃないですか」
にこにこと満面の笑みを百合香は智に向ける。
「あー。久しぶり、かも」
「え?」
そうして智はふわりと百合香の髪を掬った。