ブルーブラック2


すぐに体が離されると、百合香は未だに恥ずかしさから視線が定まらなくて挙動不審になる。

なんとかそれを持ち直そうと視線を動かして、さっきもらったプレゼントを思い出して再び手に取った。


「あ…一緒に、開けましょうか」
「いいよ」


そうして百合香は智の隣に腰をおろして、するするっとリボンを解く。

お互いにそんなに大きくはない小箱。
その蓋をほぼ同時に開く。


「わ…ぁ!」


百合香が声を漏らした。
そこには銀色に輝く腕時計があった。


「素敵!ずっと同じ時計使ってたから…!」


百合香が目をキラキラさせて箱から腕時計を手にした。
文字盤を見るとシンプルなデザイン。でも秒針など細かな部分がオシャレですごく女性らしいものだった。

自分好みのその腕時計に百合香は目を奪われていた。


「デザイン大丈夫だった?」
「はい!すごく好きです!」
「よかった」
「あれ…?」


百合香がその腕時計をつけることなくまじまじと見ていた時に何かに気が付いた。


「これ…って、もしかして智さんの腕時計と同じブランド…?」
「そうだけど」


さらりと智は答えたが、そのブランドは有名なもので、安価なものじゃないことくらい百合香も知っていた。

< 360 / 388 >

この作品をシェア

pagetop