ブルーブラック2

「珍しいですね! 今日はコンビニですか?」


百合香は江川の前に置かれたコンビニの袋を見てそう言った。
それをガサガサと出しながら、少し小さめの声で江川は答える。


「まどかは今キッチンに寄りつかなくてね」
「え?!」
「百合香ちゃんは大丈夫なのかな?」
「え…あ、ああ! まどかさんてそんなに今ひどいんですか?」


百合香と僅かしか違わない予定日のまどか。
今までなにかと連絡をしてきてくれたのが、そう言えばここ最近なかったことを百合香は今思い出す。

そしてその原因が悪阻だということに今気付いた。


「見てるこっちの方まで具合悪くなる時あるよ…でも朱里の時もそうだったし。もうすぐ楽になるはずだから」
「…そうなんですか」
「その点、百合香ちゃんは元気そうで良かったよ」
「…なんか申し訳ないです」
「なんで」


江川が笑いながらそう言って弁当を食べ始めた。


「ああ、そう言えば」
「はい?」


そして二口目を頬張る直前、江川が百合香に何かを思い出したように口にした。


「アイツ、なんかあった?」
「え? 智さんですか?」


急に智の様子を聞かれた百合香は、その内容が全く分からず、見当もつかない為不安な面持ちで聞き返す。

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