ブルーブラック2
*
「こんにちはー」
「いらっしゃい、元気だった?」
それから2日後の土曜に、百合香は碧と大地をつれて、まどかの家へと遊びに来た。
「最近は忙しいみたいね? 柳瀬くん」
「あ、はい。3月が間近なので、いろいろやることあるみたいですね」
「うちも、久々の万年筆コーナーで3月迎えるから、必死みたい」
まどかとは、もう5年以上の付き合いになる。
まどかの夫は江川勇介(えがわゆうすけ)。自分の夫の同期であり友人だ。
その繋がりで、百合香も家族ともども仲良くさせて貰っていた。
「あ、碧! 早く来いよ!」
「……おじゃまします」
奥のリビングから嬉しそうに碧を呼んだのは、江川英太(えいた)。
江川家の長女・朱里(あかり)の弟で、碧と同級生だ。
「ちょーど今、姉ちゃんがゲームから抜けて、相手いねぇんだ。やろーぜ!」
「あ、朱里お姉ちゃん、こんにちは」
英太が意気揚々と碧に話しかけるが、碧はそんなこと後回しかのように、近くに居た朱里に挨拶をした。
「こんにちは。ごめんね。わたしこれから友達と約束があって…」
「ううん。今度また遊んでね」
「うん 。あ、それ、英太に?」
子どもと言えども、女同士の雰囲気はなかなかのもの。英太は遠巻きにしか入れず、視線を送るだけ。
そして、その英太には聞こえない声で、朱里は碧の肩に掛けてあるトートバックを指して言った。
「まさか! これは、その……」
「だよねぇ。碧ちゃん、いるんだ。好きな人」
ニンマリと朱里が言い当てるから、碧は黙って顔を赤くする。
「今度、教えてね!」と、朱里は碧に言って、出掛けてしまった。
「…おーい。早くやろうって!」
「もう…! 英太うるさい! わたし今日はそんなにひまじゃないの!」
姉の朱里がその場から居なくなると、英太が碧を呼び寄せる。
しかし、碧は英太のところへ行かずに頬を膨らませて答えた。
「こんにちはー」
「いらっしゃい、元気だった?」
それから2日後の土曜に、百合香は碧と大地をつれて、まどかの家へと遊びに来た。
「最近は忙しいみたいね? 柳瀬くん」
「あ、はい。3月が間近なので、いろいろやることあるみたいですね」
「うちも、久々の万年筆コーナーで3月迎えるから、必死みたい」
まどかとは、もう5年以上の付き合いになる。
まどかの夫は江川勇介(えがわゆうすけ)。自分の夫の同期であり友人だ。
その繋がりで、百合香も家族ともども仲良くさせて貰っていた。
「あ、碧! 早く来いよ!」
「……おじゃまします」
奥のリビングから嬉しそうに碧を呼んだのは、江川英太(えいた)。
江川家の長女・朱里(あかり)の弟で、碧と同級生だ。
「ちょーど今、姉ちゃんがゲームから抜けて、相手いねぇんだ。やろーぜ!」
「あ、朱里お姉ちゃん、こんにちは」
英太が意気揚々と碧に話しかけるが、碧はそんなこと後回しかのように、近くに居た朱里に挨拶をした。
「こんにちは。ごめんね。わたしこれから友達と約束があって…」
「ううん。今度また遊んでね」
「うん 。あ、それ、英太に?」
子どもと言えども、女同士の雰囲気はなかなかのもの。英太は遠巻きにしか入れず、視線を送るだけ。
そして、その英太には聞こえない声で、朱里は碧の肩に掛けてあるトートバックを指して言った。
「まさか! これは、その……」
「だよねぇ。碧ちゃん、いるんだ。好きな人」
ニンマリと朱里が言い当てるから、碧は黙って顔を赤くする。
「今度、教えてね!」と、朱里は碧に言って、出掛けてしまった。
「…おーい。早くやろうって!」
「もう…! 英太うるさい! わたし今日はそんなにひまじゃないの!」
姉の朱里がその場から居なくなると、英太が碧を呼び寄せる。
しかし、碧は英太のところへ行かずに頬を膨らませて答えた。