ブルーブラック2
2.群青と色恋
「お疲れさまでーす」
事務所にいる皆に向けて一言挨拶を口にすると百合香は休憩室へと向かおうとした。
「ああ、神野さん」
呼びとめられたその声にドキンとひとつ心臓を打つ。
振り返ると遠くのデスクについている智がこちらを見て手招きをしている。
(え?なんだろう、こんなところで。珍しい··)
百合香が嬉しさを押し殺して智のデスクに近づいて行くと、智がデスクの上のものを指さして微笑んでいた。
「え··あ!まさか。これ」
そこにあるのは小さな立方体に近い箱が3つ。
その箱はいつも見ている箱で、万年筆のインクのボトルが入った箱だ。