ブルーブラック2
「届いたんですか?」
「いや、さっき阿部さんが持ってきたらしくて。富田さんがわざわざ気を遣って俺のとこに持ってきてくれた」
目の前のインクは前々から企画していたオリジナルインク。
他の店には売っていないカラーインクだ。
それを持ってきてくれたというのがそのインク生産をしているメーカー·オーシャンの阿部美雪《あべみゆき》という担当者。
彼女は弐國堂担当になって約3年目で、いつもよくしてくれる。
そして富田《とみた》という男性は、実は万年筆コーナーのフロア長。
智が抜けた後に異動してきていた。
年齢は智よりも少し上だが、実質経験は智の方が長い上に、オーシャンとも親しいのを知って、智に話をいつも持ってきてくれるのだ。
「私まだ全然見たことないんです」
「まだ誰も見てないんじゃないか?」
「じゃあ一番ですか?」
「多分ね」
相変わらず文具大好きな百合香は仕事の延長上だというのも忘れて、智の手に視線を注ぎ、インクのお披露目を今か今かと待ち望む。
そんな百合香を見て、目を細めて笑いながら智は嬉しくなるのだった。
「いや、さっき阿部さんが持ってきたらしくて。富田さんがわざわざ気を遣って俺のとこに持ってきてくれた」
目の前のインクは前々から企画していたオリジナルインク。
他の店には売っていないカラーインクだ。
それを持ってきてくれたというのがそのインク生産をしているメーカー·オーシャンの阿部美雪《あべみゆき》という担当者。
彼女は弐國堂担当になって約3年目で、いつもよくしてくれる。
そして富田《とみた》という男性は、実は万年筆コーナーのフロア長。
智が抜けた後に異動してきていた。
年齢は智よりも少し上だが、実質経験は智の方が長い上に、オーシャンとも親しいのを知って、智に話をいつも持ってきてくれるのだ。
「私まだ全然見たことないんです」
「まだ誰も見てないんじゃないか?」
「じゃあ一番ですか?」
「多分ね」
相変わらず文具大好きな百合香は仕事の延長上だというのも忘れて、智の手に視線を注ぎ、インクのお披露目を今か今かと待ち望む。
そんな百合香を見て、目を細めて笑いながら智は嬉しくなるのだった。