ブルーブラック2
智が半身後ろに向けて美咲を見た。

美咲はにっこりと笑って勿体振らずに続きを話し始める。


「この前、階段で仲良さそうにしているところを」

「階段···?」

(ああ、あの杉浦が来てたときか?でもあれは死角だったからマズイところは見られてない筈―――)

「それと」


智が頭で色々と時系列を追って整理していると美咲はまだ何かあるようだ。
ゆっくりと智に近づいて、胸を指さして上目遣いで付け足した。


「大事な筈の、このペン。神野さんに貸してましたよね?」


ガコン


美咲の言いたいことが丁度終わった時にエレベーターが5階に到着して扉が開いた。
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