ブルーブラック2
美咲が勝ち誇ったように笑って智の前を塞いで立っていると、智はスッと美咲を軽く押しのけて先にエレベーターを降りた。
その顔は美咲から見てもなに一つ堪えてない様子で、自信があった美咲は自分でも珍しく必死になってしまう。
「――W不倫て、言いふらしちゃいますよ?」
それは最後の切り札だ。
それを匂わせたことをさっきまで言っていたのだがストレートに言うのはまだ先の予定だった。
もっと、追い詰めてから、確実に落とすための―――
「“お好きにどうぞ”って言ったら?」
智は全く動じずに、淡々とした口調で美咲にそう言い返した。
美咲は長く伸びた爪を手のひらに食い込ませて唇を噛んだ。
智はそんな美咲を置いて、ひとり事務所へとドアに手を掛けた。
「強がらないでください。立場もありますよね?」
しかし智はそれすらも冷ややかな視線で返すだけでそのまま事務所内へと消えて行った。
その顔は美咲から見てもなに一つ堪えてない様子で、自信があった美咲は自分でも珍しく必死になってしまう。
「――W不倫て、言いふらしちゃいますよ?」
それは最後の切り札だ。
それを匂わせたことをさっきまで言っていたのだがストレートに言うのはまだ先の予定だった。
もっと、追い詰めてから、確実に落とすための―――
「“お好きにどうぞ”って言ったら?」
智は全く動じずに、淡々とした口調で美咲にそう言い返した。
美咲は長く伸びた爪を手のひらに食い込ませて唇を噛んだ。
智はそんな美咲を置いて、ひとり事務所へとドアに手を掛けた。
「強がらないでください。立場もありますよね?」
しかし智はそれすらも冷ややかな視線で返すだけでそのまま事務所内へと消えて行った。