ブルーブラック2
「そうなの?」
その一言で百合香はぱぁっと明るい笑顔を返した。
百合香にとって、文房具は大好きなもので、それを人から褒められたり話題にされたりすると無条件で嬉しくなってしまう。
そして万年筆は、ここ数年百合香の中でさらに特別なものになっている。
そんな万年筆に興味があると、可愛い笑顔で言われたら百合香もつられて当然だった。
「はい。なんだかオトナの雰囲気で憧れちゃいます」
「そうなんだよね!私も昔はそう思ってたの」
百合香は目の前の美咲との話しに夢中になり始めた。
綾の話や、美咲が以前智のデスクにいたことなんてすっかり忘れて。
次の言葉を聞くまでは―――
「柳瀬店長の万年筆が素敵だなぁと思ったんです」