ブルーブラック2
*
「店長」
また、事務所の扉を開ける寸での所であの声が聞こえた。
“生田美咲”―――
「何?今は営業中の筈だけど。君がいなきゃいけない場所はどこ?」
「江川さんの許可は貰ってますよ。ちょっと、忘れ物を取りに」
「ああそう。じゃあ早くそれ取って戻って」
「神野さんて―――可愛い人ですよね」
百合香の名前を出して智の反応を見る。
美咲の思っていたような慌てた反応はひとつも見せなかったが、いつもなら目を逸らしたまま無視をしていくところの筈なのに、今は自分を見て続きを窺っているようにも思えた。
美咲は智の興味を引き続けたい為に続きを口にする。
「昨日の話··店長の“お好きにどうぞ”っていうのは自分の立場なんて構わないということでいいですか?」
「····」
「―――じゃあ、“神野さん”に直接私がその件でお話しても―――」
勝機は自分に傾いた。
そう思った美咲は智に近づいて小さな声で囁いた。
「私は“そういう関係”になっても束縛したりしませんから安心してください」
「店長」
また、事務所の扉を開ける寸での所であの声が聞こえた。
“生田美咲”―――
「何?今は営業中の筈だけど。君がいなきゃいけない場所はどこ?」
「江川さんの許可は貰ってますよ。ちょっと、忘れ物を取りに」
「ああそう。じゃあ早くそれ取って戻って」
「神野さんて―――可愛い人ですよね」
百合香の名前を出して智の反応を見る。
美咲の思っていたような慌てた反応はひとつも見せなかったが、いつもなら目を逸らしたまま無視をしていくところの筈なのに、今は自分を見て続きを窺っているようにも思えた。
美咲は智の興味を引き続けたい為に続きを口にする。
「昨日の話··店長の“お好きにどうぞ”っていうのは自分の立場なんて構わないということでいいですか?」
「····」
「―――じゃあ、“神野さん”に直接私がその件でお話しても―――」
勝機は自分に傾いた。
そう思った美咲は智に近づいて小さな声で囁いた。
「私は“そういう関係”になっても束縛したりしませんから安心してください」