ブルーブラック2

「でも、おれ百合お姉さんが先輩なら文具店で接客でもいいかな」


隼人はさらりとそんなことを口にしてビールを飲む。
椿はそんな隼人を見て、負けず嫌い魂に火が付いた。


「そんな邪な店員に、接客されたくない」
「え!いや、そんな。ちゃんと真面目にやりますよ!」
「姉ちゃんを困らせるなよ?」
「えぇ~ヒドイ・・大丈夫ですよ、ねぇ?!」


椿の姉好きがたたって隼人は猛攻撃を受ける。
そんな椿はついこの間までいつでもこんな感じだったので百合香は慣れっこだった。


「隼人くんは頑張ってくれてるよ!・・・たまに気が抜けてることあるけど」


笑いながら百合香が冗談を交えて答えた。


「酒飲める歳だからって、まだ社会人数カ月なんだから、あんまり調子に乗るなよー隼人」
「こんな説教受けるなら誘わなければよかった・・・」


来るまではあれだけ気が重かった百合香も、この時には数年前に戻ったかのように楽しく椿と隼人を見守っていたのであった。

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