―MilkyWay―

全く…お母さんはなんでこんなに能天気なの?


思春期の子ども達を目の前に恋だの彼氏彼女だの、しょっちゅう言っている。

普通の親なら「まだ早ーい」って言うところじゃないのかな?


お父さんも何も言わずに笑っている。

我が家の親の呑気さよ…


『恋したいよー!!瑠璃ちゃぁん!!ご飯おかわり♪』


恭次は足をバタバタさせて駄々をこねる子どもみたい。


『バカ?…―ッあ゙ーっ!!』


あたしが言ったと同時にお皿から最後のポテトは恭次に奪われてしまった。


『ほとんど恭次が食べたでしょ?!』


頬を膨らませて言うと恭次はあたしの頭をポンポン叩いて


『家にプリンあるから後で食べに行こうねー♪』

と笑顔で宥めてくる。



『え?』

ホケッと呟くあたしの言葉に再び笑う。

『Vegaのプリンだよ食べるでしょ?』

『あ、うん…』


しまった

丸め込まれてしまった…



―――――


『舞ちゃーんただいま』

バタバタと恭次の家に行って早速目の前にプリンを広げる。


雨はすっかり止んでいた。


『上でゲームしようぜ』


しっかし…

プリンに乗せられて恭次の部屋に来てしまった…


久しぶりに入ったかも…


最近、恭次がうちに来るばかりで、恭次の家というか部屋に来るのは久しぶり。



『なんか、久しぶりにきた』

『あーそうだな』


『なんか…』

『ん?』

『部屋変わった?』

『そうかな?』


恭次の部屋は、サッカー選手のポスターやユニフォームが飾ってあって、なんかアイドルのポスターもあって、小学校の頃とは少し違う感じになっていた。


『きょろきょろしちゃって、変な南深。まっいーけど。プリン持ってくるよ。クランベリージュースあるよ』

『いる!!』

『お前はウキウキ全開だなっ波琉か!?』



勢いよく答えるあたしに、恭次は呆れた感じに笑って言う。


だって、Vegaのプリンもクランベリージュースも大好きなんだもん。



『南深って昔からここのプリン好きだよなぁ?』


『これがあれば生きていけるっ♪』


恭次が戻ってきて、あたしは満面の笑顔で蓋をあける。

小さな頃から近所で買ってくるこのプリンが大好き。


色んな味があっていつもどれにしようか迷ってしまう。


『おいしぃっ♪』



今日あたしが選んだのはチョコレートプリン。


美味しさに感動しながらスプーンを口に運ぶ。


『あっ』


半分くらい食べると手からプリンは瞬間移動した。




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