―MilkyWay―


もう。恭次はマイペースで勝手すぎて、なんなっちゃうよ。


田附恭次(タヅケキョウジ)あたしが今言い合いしてる目の前の男の子の名前。

進藤南深(シントウミナミ)これがあたしの名前。


恭次の部屋はあたしの部屋の窓の真っ正面で2階同士。

幅3メートルくらいの小さな道路を隔てて建っているのが恭次の家で、あたしたちはお互いが生まれる前からお向かいさん同士。

俗に言う【幼なじみ】って関係。


物心付いた頃には、もう当たり前のように恭次は居て、家は違えど家族みたいな感覚で、あたしはそれが全世界共通だと思っていた。

それはもうすっご仲良くて、あたし達は常に一緒だった。


だけど、ある時中学校が別れることが発覚。

それまで何をするにもほぼ一緒。本当の家族よりも同じ時間を共有していたと思う。


マイペースな両家の親はまさか中学校がバラバラだなんて1ミクロンも想定してなかったから、お知らせの通知を見て大騒ぎだったし、あたしも恭次もフリーズした。


誰も知らなかった。原因は家の間のたった3メートルほどの道路。

そのわずかな距離が学区境界線となり、あたしたちを隔てたのだった。


あの時の何とも言えない想いは、もやもやと今も残っていて時折思い出す。


あんなに仲良かったのに、いつの間にか恭次になついて素直だったあたしは嘘みたいにどこかに消えてしまった。


いつのまにか、喧嘩ばかりの関係になっちゃった。


恭次が言うように、今のあたしは明らかに可愛気がない。



自分でも、それはよくわかっているよ。


中学生活も一年が過ぎて、ますます険悪になっているし…。


別に…ほんとは仲悪くしたいわけじゃないのに…

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