―MilkyWay―
でも、あたしにあの頃の素直さを思い出す気持ちはもう持っていない…。
決して、喧嘩したいわけじゃないのに、でもいつもイライラしちゃう。
『俺さぁ…』
ベランダを見つめて少し昔を思い出していたら不意に恭次の声。
『彼女と別れちゃったんだよねー』
と別に少しも悲しんではいない様子で続けた。
『はい…?』
恭次は中学校に入ると「告白されちゃった」と早速彼女ができた。
が…あっという間に別れる。
そんな事を常に繰り返し、最早何人目かは知らないけど、また新たな別れがあったらしい。
入学当初からモテモテ。おめでたい中学生活の幕開けをして今に至る…
『慰めて…』
唖然とするあたしを他所にお調子者恭次はベットから両手を広げた。
『あのねーっ!!バッカじゃないのっ!!さっさと自分ちに帰って!!』
お気楽な姿にカチンと来て近くの雑誌を恭次に思いっきり投げつけた。
『おいっ!!凶器だろっそれ!!可愛い冗談じゃん!!それにここは俺んちだ』
それを素早く避けて言う。
『何が俺んちよ!!』
あたしは続けてクッションを投げつけた。
雑誌からこっちに変えたのは誉めてほしい。