甘美
彼の印象は――――…声だった。



「ねえ、彼女!」


いつもなら付いていかないナンパ。
だけど、彼の甘い声に酔いしれてしまったのだ。




「俺と付き合おっか」


何回目かのデートの帰り。
彼が照れ臭そうにそう言った。



自慢できるエピソードでもない。
でも、私にとったら一番大事なエピソード。




「なあ、サホ」




そう、呼ぶ彼が堪らなく大好きで。
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