vamp
「ヘルカ」
耳に吐息がかかる。抑えられた熱と量。
「どうして欲しい?」
ああ。
「噛みついて」
だってあなたは吸血鬼だから。その歯に噛みつかれて、血を飲まれて、私もあなたの一部となりたい。
くすり、と笑い声が聞こえた気がした。気のせいかもしれない。
すぐにあなたの声が私の脳を揺さぶったから。溶かしてぐちゃぐちゃにして、あなたでいっぱいにさせたから。
首筋に走った鈍い痛みに、私の瞳は蜜を零す。
【end.】