スパイス&シュガー
刺激
「おいっ!」
そんな彼の声を振り切って。
私は人のいない道をただ走る。
喧嘩なんて、日常茶飯事。
ホトホト彼も私に愛想が尽きてきたのではないだろうか。
そうとすら思える。
「待てっつってんだろ!ちっ」
後ろから悪態付く彼の声がする。
だけど、私は振り向きすらしない。
「ミサ!」
どう頑張っても男の足の速さに敵うわけなくて。
そうやって、彼は私の手首を掴む。
そのまま、壁にドンっと押されて背中を打ちつけた。
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